予防歯科と生涯治療費

 むし歯や歯周病など、歯の病気を防ぐための予防歯科という考え方も、近頃はかなり浸透してきました。
しかし、誰もが3ヶ月や半年に一回、歯科医院に行って定期健診を受けている、という状況にはまだまだ至っていません。 定期健診を受けたほうがいいという気持ちはあっても、毎日忙くて行く暇がないとか、半年に一度のことなのでつい忘れてしまうとか、実行できない理由はいろいろだと思いますが、定期健診にかける費用がもったいない、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

予防歯科と生涯治療費 日本の医療保険制度は、先進国の中でも充実していて、2割~3割の負担で高水準の治療診療を受けることができます。しかし、この恵まれた環境が逆に予防軽視の考えにつながっている部分はないでしょうか。
命に関わる病気は別として、歯の病気などでは、治療費が安いうえ、サービスも良いので、わざわざお金を出して予防に力を入れなくても、「悪くなったら治せばいい、費用も安く済む」という考えに陥りがちなのではないでしょうか。
本当にそうでしょうか。 詰め物や被せ物が必要なほどの大きなむし歯になってしまうと、通院回数も費用も多くかかります。さらに詰め物や被せ物には寿命があるので、何年かに一度は再治療が必要になり、また費用もかかります。 見た目を考えて自費の材料を使うようなことをすればそれだけで、予防にかかる費用をこえるでしょう。

歯周病ではもっと恐ろしいことも考えられます。歯周病は糖尿病、肥満、その他の全身疾患と関連があると言われています。 成人病や生活習慣病になって、多額の治療費負担を強いられたり、寿命を縮めてしまうこともないとは言えません。

興味深い調査データもあります。 歯科の定期健診を受けている人は、生涯治療費が平均より低く済むというものです。 その調査によると、歯科の定期健診を受けている人は、48歳までは医療費が平均を上回るもののその後逆転し、年齢を経るにつれて差は広がり、65歳の段階では、平均の6割程度の負担となっているということです。結果、歯科費用を含めた生涯治療費でも平均を下回ると結論づけたそうです。
「歯が悪いと食事が偏ったり、歯並びが悪くなったりする。それが糖尿病や肩凝り、骨粗しょう症を招き、体全体の健康に影響する」と分析しています。(トヨタ関連部品健康保険組合・豊田加茂歯科医師会共同調査)

健康と安心をもたらし、長い目で見れば、かえって得とも言える歯科定期健診。億劫にしないでこれを機会に始められてはいかがでしょうか。

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